もう迷わない!特定技能・建設分野の受け入れ手順と注意点

なぜ建設業界に特定技能人材が必要なのか

日本の建設業界では、団塊世代の引退や若年層の就業離れにより、深刻な人手不足が続いています。特に土木・型枠・鉄筋・塗装などの現場系職種では、技能継承の危機も叫ばれています。

その解決策の一つとして導入されたのが、2019年に創設された特定技能1号の建設分野です。外国人材を即戦力として迎え入れ、日本の建設現場を支える仕組みが整いつつあります。

この記事では、特定技能(建設分野)の制度概要から、業務内容、日本語要件、試験情報、採用時の注意点までを徹底的に解説します。

 

建設分野における業務内容

従事可能な作業範囲

特定技能(建設)では、以下の11作業分野が対象とされています。

  • 型枠施工
  • 鉄筋施工
  • 塗装
  • とび
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • 土工
  • 建築大工
  • 配管
  • 内装仕上げ施工
  • 屋根ふき

たとえば、鉄筋施工の現場では、組立図の読み取りや鉄筋の結束作業が求められます。塗装分野では、足場上での作業やスプレーガンの操作技術が必要です。

現場での働き方と注意点

現場作業には暑さ・寒さ・騒音・高所作業など、身体的・精神的負荷も多く、採用前に仕事内容を十分に説明することが重要です。

 

求められる日本語能力

語学力の要件

次のいずれかの日本語試験の合格が必要です。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)

また、建設現場では「足場を外して」「セメント3袋持ってきて」など、短く明確な日本語指示に迅速に対応できる力が求められます。

安全管理と日本語

安全確保のため、危険を知らせる用語や注意喚起の言葉を確実に理解できるかどうかは、命に関わる大切なポイントです。

 

技能評価試験の概要

建設分野の特定技能評価試験

試験は建設技能人材機構(JAC)が実施し、以下のような出題があります。

  • 基礎的な建設知識(工具の使い方・作業の手順)
  • 図面の理解
  • 作業安全・衛生管理の知識

試験はCBT方式で行われ、日本と一部の海外でも受験可能です。

合格のための準備

各作業分野ごとに受験が必要なため、自社の業務に合った分野を選定し、送出機関や支援機関と連携して受験対策を行うのが望ましいです。

 

採用前に確認すべきポイント

建設特有の労働環境

天候や季節によって勤務時間や作業内容が変化します。また、現場によっては宿泊を伴う出張が発生することもあります。事前の説明と合意形成が重要です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動

特定技能(建設)の受け入れ企業は、CCUSへの登録が義務づけられています。これは、技能評価・履歴管理・キャリア形成を一元管理する仕組みで、外国人材の能力を正当に評価し、継続的に育成する基盤となります。

外国人材の離職リスク

  • 暑さや寒さへの耐性が不足していた
  • 日本語指示が理解できず事故につながりかけた
  • 現場で孤立し、相談できる相手がいなかった

これらは、採用前の現場見学や定期的な面談で事前に防げるケースが多いです。

 

採用から入社後までの流れ

採用手続きの基本フロー

  1. 対象作業分野の決定
  2. 選考・面接・雇用契約の締結
  3. 登録支援機関との連携と支援計画の策定
  4. 在留資格申請・取得
  5. 来日・入社・研修開始

入社後の支援体制

  • 安全マニュアルの母国語翻訳
  • 通訳付きの朝礼・作業指示
  • 日常生活支援(買い物・交通・携帯契約など)

建設業においては、初期支援の質がその後の定着率を大きく左右します。

 

まとめ:技能と安全を支える外国人材のチカラ

特定技能(建設)は、単なる補助要員ではなく、技術を支える仲間として受け入れるべき存在です。

制度を活用しつつ、職場の安全と外国人材の成長を両立させることが、持続可能な建設業界の未来を築く第一歩となります。